specoffca.jpg

第3回辻静雄食文化賞をいただいた「スペシャルティコーヒー大全」の中国版が出版されました。
せっかく培った技術を、簡単に発表してよいのか議論もあるかと思いますが、わたしどもにとってはこれら発表された内容は、自家焙煎コーヒー店を始める前に、最低限必須の規準で、すべてクリア済みのものです。
アジアの国々がこうした理論や技術情報を得て、より正しいコーヒー作りに向かうよう願っております。
正しい技術や理論は、正しく読解し正しく検証することで、誰でも手にできるものでなければなりません。
中国語を解する人で、正しいコーヒーを志す人のために役立つことを願っております。(店主)


中国Amazon

辻静雄食文化賞 第5回受賞のニュース
2014.06.15 / Top↑
店主の新刊がでてはや1か月。蔦屋でのイベントも終わり、おおむね好評のうちにむかえられていることがわかってきました。
この本の宣伝のための帯には、やや大げさな言葉が並んでいます。
「コーヒーの香味を自由自在にコントロールする」
旦部先生の序文を読むと「コーヒーの香味を自由自在にコントロールしてみたい----自家焙煎に携わる人なら誰しも夢見る一大目標です」とあります。
できるだけ多くの人にお読みいただきたいと思いますが、どうか最後まできちっと読みきっていただきたいと願います。

勝手に帯を書きかえてみます。

18年前「科学者(Scientist)」と「職人(craftsman)」が出会いました。
科学者は職人に「科学(science)」を分かち与えました。
職人は科学者に「知恵(wisdom)」を分かち与えました。
彼らは、「良心(conscience)」という名前の美味しいブレンドを作り出しました。


昨年、神保町の岩波ホールに行列を作った「ハンナ・アーレント」という映画があります。
その映画について、興味深いエッセイがあります。岡野八代「『ハンナ・アーレント』を見る前に」です。

(前略)「友人」は、開かれた公的領域において、共有する関心事をめぐって、自由に議論を闘わせる関係にある。喧々諤々の議論は、関心を共有しているという、むしろ喜ばしい経験である。何かに関心interest があることを、人との間にあること( inter 間に est ある )とアーレントは考えた。
アイヒマン裁判のレポートをめぐって、論争することは喜びであると分かち合っていた長年の友ブルーメンフェルトから自らの考えを拒絶されるアーレントの苦悩は、したがって彼女の思想の核心を揺るがすほどのものだったに違いない。アーレントこそじつは、アイヒマンが悪魔のような人間であればどれだけ救われたか、と思ったのではないか。しかし、本映画で示される思考は、〈分かりやすさ〉や〈自分が知りたい〉ことではなく、自らを裏切らないことの大切さと同時に、自らに誠実であることの困難さを示している。(後略)

アーレントはあらゆる批判から逃げず、発表した裁判傍聴レポートを「最後まで読めば理解できる」というのですが、引用のように大切な友人から拒絶されます。
そして、学生を前に8分間に及ぶ講義のシーンで締めくくられます。

(前略)学生たちは、まっすぐアーレントを見つめ真剣に聞いている。
アーレント「彼のようなナチの犯罪者は、人間というものを否定したのです。そこに罰するという選択肢も、許す選択肢もない。彼は検察に反論しました。何度も繰り返しね。“自発的に行ったことは何もない。善悪を問わず、自分の意志は介在しない。命令に従っただけなのだ”と」
アーレント「こうした典型的なナチの弁解で分かります。世界最大の悪は、平凡な人間が行う悪なのです。そんな人には動機もなく、信念も邪心も悪魔的な意図もない。人間であることを拒絶した者なのです。そしてこの現象を、私は『悪の凡庸さ』と名づけました」
ミラー「先生、先生は主張してますね。“ユダヤ人指導者の協力で死者が増えた”」
アーレント「それは裁判で発覚した問題です。ユダヤ人指導者は、アイヒマンの仕事に関与してました」
ミラー「それはユダヤ人への非難ですよ」
アーレント「非難など一度もしてません。彼らは非力でした。でも、たぶん、抵抗と協力の中間に位置する何かは……あったはず。この点に関してのみ言います。違う振る舞いができた指導者もいたのではと」
アーレント「そして、この問いを投げかけることが大事なんです。ユダヤ人指導者の役割から見えてくるのは、モラルの完全なる崩壊です。ナチが欧州社会にもたらしたものです。ドイツだけでなく、ほとんどの国にね」
アーレント「アイヒマンの擁護などしてません。私は彼の平凡さと残虐行為を結びつけて考えましたが、理解を試みるのと、許しは別です。この裁判について書く者には、理解する責任があるのです!」
アーレント「ソクラテスやプラトン以来私たちは“思考”をこう考えます。自分自身との静かな対話だと。人間であることを拒否したアイヒマンは、人間の大切な質を放棄しました。それは思考する能力です。その結果、モラルまで判断不能となりました。思考ができなくなると、平凡な人間が残虐行為に走るのです。過去に例がないほど大規模な悪事をね。私は実際、この問題を哲学的に考えました。“思考の嵐”がもたらすのは、知識ではありません。善悪を区別する能力であり、美醜を見分ける力です。私が望むのは、考えることで人間が強くなることです。危機的状況にあっても、考え抜くことで破滅に至らぬよう。」


映画館で映画を鑑賞するように「一気に読みました」という方に何人かお会いしました。
アーレントの考えるような「友人と関心を共有する」----そんな役にたつ本になることを願っています。(BKTc-N)


2014.03.05 / Top↑
間もなくバッハ店主の新しい本がでます。どうぞよろしくお願いいたします。2、3日中にお店にも本が届く予定です。



NHK出版刊
『コーヒー おいしさの方程式』

「スペシャルティコーヒー大全」のコンビが、コーヒーの魅力について、語り合いました。
コーヒーの大好きな科学者とサイエンスが大好きな技術者のコラボレーション。
コーヒーは勉強すればするほど、おいくなる----それが方程式かもしれません。
本当は、一番最初にこの新刊で基礎の「理論」を学び、「珈琲大全」で基礎となる「技術」を知り、自家焙煎コーヒーの技術者としてスタートしてほしい、そして、その進む先に「スペシャルティコーヒー大全」で多様なスペシャルティコーヒーの楽しみを活用してほしい。今回の、いうなれば「珈琲大全3」で、コーヒー自家焙煎店開業のための技術的基礎がひとつの円環につながります。
技術者と科学者の対話が“from craftsmanship to conscience”になりますように。(BKTc-N)

IMG_0002-ssize.jpg zuhan-ssize.jpg

mokuji.jpg

店主は、知識のままでは足りない、知識が人の役に立つために、お客様にどのように伝え、共有していくかが大切だと日頃からいいます。----旭屋出版「カフェ&レストラン」誌連載中の「実践カフェ・バッハの『接客サービス』」もぜひあわせてお読みいただければ幸いです。
「珈琲は全ての人達を友達にする」店主は、昨年11月の台湾での講演会をこのように締めくくりました。スタッフ一同その言葉を大切に、サービスにも励みたいと思います。
新しい本が出たことで、技術者と科学者とサービスマンが三位一体で「おいしさの方程式」なんですね、と言われるようがんばります。 (カフェ・バッハ・スタッフ一同)

caferes201403.jpg
2014.01.15 / Top↑
SCAJ展示会の前後に様々なセミナーやプレゼンが行われました。海外から来日した生産者の貴重なお話もたくさんうかがいました。SCAJ展示会では、情報公開が試飲つきで行われます。また来年も楽しみです。
その中に、スペシャルティのトレンド先進国コスタリカの「ハニー精製法」に関することがいくつかありました。「Tipsティップス」の続きとして参考までに記します。(トレセン-N)


コスタリカの精製方法の分類(E社資料)
sstrR0018829.jpg

「水洗W---ハニー---自然乾燥N」がすべて製品化されている生産国が増えています。エチオピア、ブラジルが「自然乾燥N」側から精製の多様な選択肢を広げたのに対して、コスタリカは「水洗W」側から広げたといえます。コスタリカの取り組みは中米域に影響しています。

honey.jpg

コスタリカは、比較的気候変動の影響が少なくすんでおり、乾季の雨量が保たれていることから「ハニー」は生産しやすい条件といえます。しかし、スペシャルティ時代の生産処理選択は、消費国の多様な要望にできるだけていねいに答えることから決定しますので、消費国の要望の変遷が生産量に占める各精製方法の割合に反映されるといえます。

よく聞く「マイクロミル(小規模生産処理工場)」についてもお話がありました。
例えば下記のD社ミルですが、ミルの周囲に[a-b-c-d-e]の5フィンカ(農場)があります。それぞれ2から6ヘクタール程度のフィンカで、合計が30から40ヘクタールほど。
ここは、1家族が5フィンカ1ミルを持っている場合ですが、他にも3家族がそれぞれに1、2フィンカを持ち共同で1ミルを所有する場合もあります。

finca.jpg

各フィンカはそれぞれの条件に合わせて、栽培品種などを選定しています。
[a+b]フィンカは「ブルボン、ゲイシャ」、[c+d]フィンカは「カツーラ、カツアイ」、 [e]フィンカは「カツーラ」という具合です。(最近は、SL28という品種を植えることがトレンドになりつつあります)
収穫した赤い実「チェリー」をミルに運び処理します。当然「フル・トレーサビリティ」が可能です。マイクロミルは、およそ「5~50袋/1日」の精製処理ロットで操業しているものをさします。


mill.jpg

ていねいな収穫や乾燥が可能になります。
そのため、農場の中の一区画だけを「レッドハニー」で作ってください、という注文をすることが可能になります。例えば乾燥場に十分な面積がとれない場合、一部機械乾燥を導入するケースもあります。
2012.10.07 / Top↑
ss2012-07-01 10.13.34

「田口護のスペシャルティコーヒー大全」の「辻静雄食文化賞」受賞を記念したフェアが開催中です。
7月31日まで。
旭屋書店池袋店「専門料理書」コーナーにて(東武百貨店池袋店7F)。

関係の方々のご協力に厚く熱く感謝申し上げます。
無理を申し上げて、「柴田書店の10冊」に選ばれて復刻された「あの本」も限定で置いていただきます。
時には書店で紙の文化を再認識して「表紙見て衝動買い」なんて、いかがですか。
(カフェスタッフ一同)

ss2012-07-01 10.15.53 ss2012-07-01 10.10.41
2012.07.02 / Top↑