前のブログ記事でご紹介しましたピアニストの小林様より以下のメールが届きました。
大変素晴らしい評価を受けられたようです。おめでとうございます。(カフェスタッフ一同)



ピアニストの小林五月です。
わたくしごとで恐縮でございますが、今月7日発売の「シューマンピアノ作品集8」が「レコード芸術」誌2013年1月号でお陰様で「特選盤」をいただくことが出来ました。
たいへん勝手失礼ながら、添付でお送りさせていただきました。
お手すきの折りにでもお読みいただければ幸いでございます。
---------------
濱田滋郎評
去る11月30日、浜離宮朝日ホー ルで催された小林五月の「シューマン・ツィクルス」第8 回を聴き、おそらく世界的に見て最高級のシューマン作品演奏会であるとの確信を新たにした次第。それとほぼ並行して制作・発売されるCD シリーズ「シューマン・ピアノ作品集」も今回は第8 集となり、ソナタ第2 番を主に、《花の曲》《3 つのロマンス》《スケルツォ、ジーグ、ロマンスとフゲツタ》(作品32)が聴かれる。演奏会でも弾かれたソナタと《3 つのロマンス》はCD では少し違った感じも受けるが、いずれにしても、この人らしく1フレーズ、1音にシューマンの「魂」 を乗せようとするかのような演奏であることに変わりはない。第2 番ト短調のソナタは、このごろ人気の第l 、第3 番よりよほどひんぱんに弾かれ(聴かれ)たものである。ほかの2 曲よりは小ぢんまりと脅かれているが、こうして生命感溢れる演奏により聴くにつけ、傑作であることに変わりはない。第1 楽章第1 主題の「哀愁」を表わす音型(階名唱法で「ラ・ソ・ファ・ミ」)に象徴されるとおり、哀感を伴う抒情味に満ち、それを小林五月は、端々まで的確に探り当てて表現する。《花の曲》の純情もうれしく、《3 つのロマンス》、とりわけ名高い第2 曲の深沈とした情緒は、彼女に打ってつけである。作品32の4曲は、シューマン作品中では陰に置かれがちながら、独自の価値を持つ。総じてこれも、けっして欠かせないアルバムである。
---------------
那須田務評
小林五月のシューマンの第8 集。ソナタ第2 番と《花の曲》《3 つのロマンス》他を収録。ソナタは近年稀に見る名演。このソナタはこの時期のシューマンの大規模な作品にしては簡潔で構成的にも分かりやすいが、小林の思いきりのよい演奏が作品の構造に一層の明快さを与えている。主題は大らかに歌われ、その後も力強く音楽をドライヴするのだが、スケールが大きくて同時に細郎のニュアンスにも事欠かない。再現部で主要主題が戻ってくるところで旋律を大きく粘らせる。小林らしい瞬間だ。第2 楽章の主題の訥々とした歌い回しにも味があり、聴き手になんともいえない感情を呼び覚ます。第3 楽章スケルツォは「きわめて急速に明瞭に」という指示通り、輪郭のはっきりとしたタッチと比較的遅めのテンポで奏でられる。これほど豊かな響きなのにテクスチュアが必要以上に混濁しないのも特筆されよう。目まぐるしく曲想の変わる終楽章も、入念に磨き上げられたタッチと確信に満ちた明快な表現で説得力がある。どの瞬間にも小林でしか聴けない個性的な表現が聴かれ、それがこのディスクに唯一無二の価値を与えているのだ。《花の曲》も同様。躊躇いや優柔不断さは退けられ、高潔な感情と剛毅さ、崇高な詩情が前面に出ている。他では、《3 つのロマンス》がいい。太い音で朗々と奏でられる第2 曲や、変化に富んだ曲想が力強いタッチと瑞々しい情感とともに奏でられた第3 曲がすばらしい。
---------------
2012.12.19 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://cafebach1986.blog134.fc2.com/tb.php/182-7cfa6a16